今回は奈良国立博物館で開催されている「第74回正倉院展」に行ってきましたので、そのことをお話したいと思います。
1.「正倉院展」を見るためには
令和4年10月29日土曜日から始まった正倉院展。(11月14日まで)
始まって1週間が経った頃に、行ってきました。
正倉院展を観るためには、事前予約の日時指定入場制で、日時を決めて事前にチケットを購入していなければなりません。コロナ禍では、ふらっと気が向いたからといった感じで、正倉院展を鑑賞することができないのは寂しいです。
今年は「正倉院展」に行くと決めていたので、発売日に早速ローソンチケットで予約しました。
当日、16時からの入館予約で、10分前から並んで待つという感じですが、ちょうど16時に博物館に着いた時には、多くの方が並んで待っていらっしゃいました。
老若男女問わず大勢の方がいらっしゃっており、毎年人気の展覧会ですね。
2.出陳宝物あれこれ
今回は59の宝物が出陳されています。
テーマ別に並んでいる宝物は観るもの観るもの、興味がつきません。
今回の正倉院展の紹介写真として、「漆背金銀平脱八角鏡」がポスターになっています。
鳳凰や鳥、それらが咥えている花などが細部までしっかりと書かれており、その動きのある絵や配置はとても美しいです。このような鏡を手にした人は、とても心躍ったことだろうと思います。
また、正倉院の宝物はシルクロードの終着点としてその間にある都市、地域の色合いが見える宝があって、これまた興味を惹かれます。西アジアの影響があると思われる大理石のレリーフ(「白石鎮子」)が出陳されていました。十二支のうちの二支が絡み合った図が面白いです。
楽器の「呉竹笙」も1300年前の物とは思えない品物です。
「蓮花残欠」という蓮花のかざりも、その形、表現が面白いです。
会期はもう終わってしまいますが、また来年、毎年行きたい展覧会です。
3.私の興味①大歌緑綾袍
私が書いている小説は「奈良時代」前後を想定した架空の古代日本です。
できるだけ、実際の歴史に合わせられるところは合わせたいと思っており、この「正倉院展」は奈良時代の調度品や衣服などが大変勉強になります。
その中で、私がとても興味深く見たのは「大歌緑綾袍」です。
1300年前の衣服が残っているということが、もう奇跡のように思います。元は緑色だったはずですが、色あせ全体的には茶色に見え、下の方に緑だった様子がうかがえる感じでした。
音声ガイドを聴きながら見ていたのですが、綾も見えるとのことで、あの時代にどのような綾織りが成されているのだろうと、目を凝らして見てみましたが、色あせた中ではうまく見られませんでした(残念)。
袍は170センチある私が両手を広げてすっぽり入るくらいの身頃、袖の長さでしたので、大きく作ったのか、着る人が大きい人だったのかと想像を掻き立てられました。袍の首上のところがどのようになっているのか間近で見ることができて、その点もこの宝物を見ることができてよかったです。
「大歌緑綾袍」とあるので、「大歌」を披露するときに着たものと考えられます。「大歌」とは奈良時代以降の宮中で披露された歌謡とのこと。
私の小説では、舞踊の場面が出てきます。これからも、多くの舞踊シーンを書くつもりなので、大変興味深く見ました。
4.私の興味②奈良時代の文書
正倉院展には、狂いのない一文字一文字が並ぶお経(「無所有菩薩経」)が展示されていました。この展覧会に限ったことではないですが、古代に書かれたお経を見るたびに、その精緻に並ぶ文字の美しいこと、とても関心してしまいます。
私の小説の中でも、本を写す、手紙を書く場面が出てきますが、その時は奈良時代に書かれたお経の文字が頭の中に浮かびます。
当時、一流の書き手が筆を操って、あのような整った美しい字を書くのだと想像します。
古代、紙は大変貴重なものだったとは、古代のことが書かれた本に出てきます。
正倉院の中には、紙を再利用して、余白を活用しているものが残っていることから、紙は貴重だったのだと分かります。こういった古代の事情が窺えるのも、この時代の小説を書いている者としては、想像を掻き立てられます。
こちらのYoutube動画で文字について語られていますので、興味がありまだ見られていない方はぜひ視聴してください。
【第74回正倉院展】正倉院「文字の世界」~文書の魅力に迫る~
古代日本の素晴らしさがわかる展覧会でした。
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