小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第ニ章16 夫沢施の館の裏門を入った実津瀬は迷わず左手に進み、母屋の裏にある使用人たちの寝泊まりする棟の方に進んだ。宴が終わった後の喧騒が右側にある台所や支度部屋から聞こえてくる。前日からの準備と本番の緊張から解き放たれた使用人たちは、残った料理や酒に... 2021.11.27 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第ニ章15 夫沢施の館で行われる夏の宴は、心配していた天気にも恵まれて夕闇の頃には夫沢施の館に大王、大后を始め王族を迎えることができた。 ちょうど西に赤く焼けた空が追いやられて、東の空からは濃い闇に覆われた頃、篝火の爆ぜる音の中、大王と大后が正面の席に... 2021.11.20 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第ニ章14 月の宴の前日。 実津瀬は予行のために塾が終わると、宴の会場となる夫沢施の館に向かった。すでに宮廷の楽団が組みあがった舞台の上を行ったり来たりしている。 実津瀬が舞台の下まで行くと、師匠の麻奈見が上で指示をしている姿が見えた。「麻奈見様」 ... 2021.11.13 小説 あなた
小説 あなた New Romantics 第一部あなた 第ニ章13 雪と会うことを許すかのように降り続いた雨は止んだ。晴れ渡った青い空が頭上に広がった。いつもの約束の場所に先に来たのは実津瀬だった。稽古場で久しぶりに舞の練習をしてから、速足でここまで来たのだった。 随分と間が空いたから雪に会えると思うと気持... 2021.11.06 小説 あなた