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小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章23

秋は深まり山々が赤く染まり始めた頃、都の空は重く厚い雲が覆っているような重苦しさがあった。 それは大王の体がもう起き上がれないほど弱ってしまって、その命の火が細く小さくなって、いつ消えるのかを皇太后と大后は息を呑んで見守っていると言うような...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章22

秋は深まり、夜は肌寒くなった。 朱鷺世は寒さのためだが、顔を隠すのにちょうどいいと頭から首巻を被って、佐保藁の宮に向かっていた。 花の宴の三度目の対決が終わり、大王はおっしゃった約束通り褒美をくれた。 それは思っても見なかった法外なものだっ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章21

蓮が典薬寮で伊緒理と会うことはなくなった。 夏の終わりに七条の邸で伊緒理が話してくれたように、大王の体調回復のためにあらゆる手段を使って良い薬を探しているため、手伝いに訪れる蓮の相手をしている場合ではなかった。 それでも、蓮の心に伊緒理と会...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章20

「蓮……すまない……今は時間が取れなくて、あなたに言ったことを果たせないでいる」 伊緒理と愛し合った後の寝物語をしていたら、すぐに蓮の帰る時間になった。 伊緒理は蓮の体を離しがたくて、蓮の左肩に唇を押し当てた。「気にしないで。……今は忙しい...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章19

蓮は邸に帰ると、母屋には父の実言と兄の実津瀬だけなく、本家の稲生が来て、三人で額を寄せ合って話をしていた。「あら、稲生が来ている」 蓮は稲生に挨拶した。「やあ、蓮。出かけていたのかい?」「今日、蓮は典薬寮に出仕していたのだ」 実津瀬が代わり...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章18

花の宴が終わって数日経った時、蓮は七条の伊緒理の邸に行った。伊緒理の部屋に入るとすぐに伊緒理が花の宴の対決について話を向けた。「実津瀬は残念だったね。どうだろう、気を落としているのかな」「それは勝てれば良かったでしょうけれど、それは仕方ない...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章17

二人はまだ息が上がっていて、静かに胸を上下させて大王の言葉を待った。 微笑みを湛えた大王は、階の下に片膝をついた二人を見ている。「……桂」 大王は王族の席の端に座っている桂を呼んだ。桂は椅子から立ち上がり、大王の方へ体を向けた。「はい」「桂...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章16

大王の健康問題は都を覆う暗い話である。三度目の舞の対決が月の宴から花の宴に変更になったのは表向き桂のわがままとなっているが、本当は大王の健康問題からだと思っている者は大勢いる。しかし、それを大ぴらに語ってはいけない。大王の健康問題を語るのは...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章15

すぐに眠れたのだが、眠りが浅くなった時、誰かのいびきで目が覚めた。 もう夜明け近いだろうか……。そうであればもう一度眠らなくてもいいか。 朱鷺世は身を起こした。 同じ部屋で寝起きしている宮廷で働く男たちは、最初は綺麗に並んで寝ていたが眠って...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第八章14

実津瀬は稽古場の前に咲く桜の木を見上げてから、稽古場の中へと入って行った。 花の宴は三日後に迫った今、花は全体の半分、いやもっと咲いている。宴の日には翔丘殿の花は満開になるだろう。 昨日、やっと春の海を表現する舞は完成した。今年は短い期間で...
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