2022-02

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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第ニ章28

立ち上がった二人はしばらく丘の上から、眼下に広がる宮廷を見つめた。小さな点がせわしなく動いているのは、宮廷で働く官吏や女官たちだ。  働く宮廷の人たちの姿を俯瞰して見ていると、二人は心が落ち着いていくのを感じた。自分の大切な人の命が尽きても...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第ニ章27

翌日の朝餉を持って来てくれたのは、予想を反していつも身の回りの世話してくれる古参の侍女だった。実津瀬はてっきり、今日も蓮が来るものと思っていた。  実津瀬は粥のおかわりをして、今日雪の指を埋めに行く体力をつけようとした。  雪の指は昨日より...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第ニ章26

眠りから覚めた実津瀬が最初に見たのは、母の顔だった。左目に眼帯をした顔が見えた。眼帯で顔の半分は見えないが、とても心配そうな顔をして覗き込んでいるのが分かった。 「実津瀬……」  実津瀬は急いで起き上がったら、今まで痛みなど感じていなかった...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第ニ章25

蓮は部屋に戻って机の前に座った。実津瀬が次に起きるまで写しかけの本の続きを書こうと思うけれど、なかなか筆を取る気が起きない。  じっとしていると、頭の中に出て来るのは怪我をした景之亮の姿である。それほど酷くはないと言っても、腕の傷は大事にし...
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