2023-12

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小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章11

山には桜が咲いている。  束蕗原の去の屋敷の周りにも桜の木が点在しており、風に乗って花びらが舞って来る。  蓮は薬草園で摘み取りの作業をしている途中に、桜の花びらが頬に落ちて来て顔を上げた。  だいぶ暖かくなってきた。夜明けとともに起きて作...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章10

開かれたままの稽古場の扉に影が差して、人が一人ふらりと現れた。  しかし、今ではこの時間に現れる人物を誰か、と顔を上げて確認する者はいなかった。  岩城実津瀬が来た、と誰もがわかっている。  扉の近くで一人背中を丸めて座っている朱鷺世は稽古...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章9

淳奈の部屋で子守の苗と一緒に寝顔を見ていた芹のところに、侍女の槻がやって来た。それで、実津瀬が帰って来たのだと分かった。  芹は淳奈を苗に任せて、槻と一緒に夫婦の部屋に戻って行った。  庇の間に入ったところで、反対側の簀子縁から静かな足音が...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章8

いつものように侍女の住居の前まで来た朱鷺世は指笛を吹いて露を呼び出した。  その日も露は台所から搗き米をかすめ取って柿の葉に包んだものを朱鷺世のために用意していたから、指笛が聞こえたらすぐに出て行った。  朱鷺世は無言で住居裏の森になった庭...
小説 STAY(STAY DOLD)

New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第四章7

「朱鷺世!手だ!手!」  淡路の大声が稽古場に響いた。淡路の後ろには楽団の長である麻奈見が腕組して朱鷺世の舞を見ている。  「手を意識したら、次は足が疎かになっている!」  淡路は朱鷺世に近寄って手にしていた短鞭を振るった。  空を切った短...
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