wildflower

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小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower61

自分が何をしたのかよくわかっているから、夜は明けて欲しくなかった。 陽が高くなっているのに、耳丸は夢の中に寝転がっていようとした。しかし、いつまでもこうして寝ているわけにはいかない。思い切って目を開けると、自分の前に背を向けて寝ていた礼の姿...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower60

追いかけて、追いかけて。毎夜、息を切らして最後には倒れるまで追いかける執着。 今日は捕まえられそうなほどしっかりと女の後ろ姿を追っている。 白い肌の女。 ああ、誰だろう。捕まえて、お前は私のなんなのだと、問いたい。 艶やかな黒髪の女。 女の...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower59

季節は晩秋へと移る。寒い日が続いて、冬の訪れを感じる。 季節の変わり目は体の不調を訴える者が多くて、熱が出た、咳が止まらないなどの症状があると、迷わず礼のもとを訪れた。 礼のことを当て新している村人のことを知っていて、伊良鷲も、耳丸が完全に...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower58

その一方で、耳丸は芳しくない。 新を診た後、親子の元に長居せず、礼は立ち去った。新のために作った薬湯を少し分けてもらい、耳丸の元に行く。「耳丸」 礼は声をかけて、小屋の中に入る。 耳丸は、板の上を痛がって、苦労して隣の藁の上に移った。まだ傷...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower57

翌日、伊良鷲が粥を持って現れた。 礼は守られた場所で休めることに安心して、随分と寝込んでしまった。伊良鷲が、小屋の戸を外した時に、慌てて起きだした。横にいる耳丸は気を失ったように眠っている。 すぐに立ち上がって、入り口に向かった。陽は高く、...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower56

刻は未(午後二時)の頃。陽はどんどんと強くなり、あたりの木々に降り注いだ光が雨粒を照らして美しい。岩畳は陽に水分を吸い取られ、干上がっていく。そこへ、馬の嘶きが聞こえた。その後に、それを囃し立てる人の声が聞こえた。 ……人の声が聞こえた! ...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower55

次に耳丸が目を覚ました時は、もう朝は過ぎていて、目の前には厚い雲が覆った空が見えた。「……礼」 近くにいると思って名を呼ぶと、しばらくして草を踏む音がゆっくりと聞こえてきて、礼が現れた。「気分はどう?」 礼は耳丸の頭を上げさせて膝を入れて枕...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower54

「鳥が屍体を狙っているから、移動させたのよ」 礼は耳丸にもう一度水を飲ませて、山から採ってきた生り物の皮をむいてちぎると口の中に入れた。耳丸は口に入ったその果肉を口の中で潰して甘みを吸った。「耳丸、傷口を診せてもらうわよ」 そういうと、耳丸...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower53

死後の世界は、どんなものだろう。先に逝ってしまった父や母に会えたりするのだろうか。もし、会えるなら、なぜ、お前がここにいるのだと、驚かせてしまうのだろうか。そうしたら、なんと、言い返したらいいものだろうか。 暗い中を歩いているような気がする...
物語あれこれ

【BGM】 52話を清書している時の曲

小説を書く時には、主題歌や挿入歌というようなものを勝手に決めて、聴きながら書いています。今回の52話を清書しているときには、MIKA feat.Pharrell Williamsの「Celebrate」をリピートしていました。皆さまも、52...
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