小説 STAY(STAY DOLD)

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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章25

「今宵、満ちておらずとも月は美しい。その光で我々は暗い中でもお互いの顔を見ることができる。今、こうして皆の顔を見ることができて、朕は嬉しい」 舞台前の正殿の観覧の間におでましになった大王が、宴の始まりの言葉を述べられた。 宴の始まりはしばし...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章24

翔丘殿に着いた朱鷺世が支度部屋に入るとすぐに裏方の男から声がかかった。「朱鷺世、ここに座れ」 朱鷺世は黙って指示された場所に胡座をかいて座った。朱鷺世の正面に男は座ると箱から白粉を出して朱鷺世の顔に容赦無く塗りたくった。 舞台の化粧を自分で...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章23

母の礼と一番下の妹の珊が、芹は淳奈と、蓮はすぐ下の妹、榧と一緒に車に乗り込んだ。 宮廷での宴には、貴族の一族が入ることはできないが翔丘殿という大王の離宮では一族も月見と舞の観覧は許されている。だから、その日はいつも邸の中にいる妻や子供もこぞ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章22

稽古場の後ろにある雅楽寮の倉では朝早くから男たちが出入りしていた。荷物を入れた箱を担いだ男はそのまま翔丘殿に向かって出発した。 いつも通りの時間に目覚めた朱鷺世は、仲間が忙しくしているその様子を突っ立て見つめていた。 今夜の催しの主役である...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章21

「蓮しゃま」 蓮が離れの部屋に入ると、父の腕に抱き抱えられていた淳奈は手を前に出して蓮の元に行こうとした。 実津瀬は淳奈を下に下ろすと、淳奈は庇の間の蓮をめがけて一目散に走った。前に手を広げてかけて来た淳奈を蓮は脇の下に手を入れて抱き上げた...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章20

「痛っ」 桂の小さな叫びに、周りにいた三人の侍女はびっくりして振り向いた。 椅子に座った桂が自分の指を真っ赤な唇に当てて吸っていた。「桂様、指を」 侍女の朱が近づいたが。「大丈夫だよ。少し手元が狂っただけ」 そう言って、唇から指を離し、再び...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章19

藍の気持ちが落ち着いた頃に侍女の朱が入ってきた。 蓮は持ってきた袋を朱に渡して、中の薬草を煎じるように言った。程なくして朱は手に薬湯を載せた盆を持って他の侍女たちを連れて戻ってきた。「藍様、どうぞ」 藍は両手で椀を持ち上げると、ゆっくりとそ...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章18

実津瀬の苦悩は、朱鷺世の苦悩でもあった。 実津瀬にも朱鷺世にも麻奈見と淡路が付いて、一人舞の構想を一緒に考えた。そこで、朱鷺世は教えられるまま一人舞を舞っていたが、細部については。「朱鷺世が考えるんだ」 と麻奈見に突き放されてしまった。「二...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章17

夜明けに実津瀬は佐保藁の宮を出て、本家に向かった。 眠っている桂の隣で体を起こしたまま、一睡もせず夜を過ごした。逆に桂は一度も起きることがなかった。 自分が桂を部屋に運んでいる間に他の五人はどうしただろうか、と桂の部屋を出てから思った。 簀...
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New Romantics 第ニ部STAY(STAY GOLD) 第七章16

「実津瀬……」 桂は自分の手から徳利を取り上げられて、振り返った。「桂様、今日はお招きいただきありがとうございました。楽しい時間だったので、私も曽野殿もそして、桂様も沢山お酒を飲んでしまったようです」 曽野亘は杯を下ろし、下を向いた。稲生が...
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