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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第三章9

王子たちが目の前を通り過ぎて行って、頭を上げかけた時に隣の藍が肘で蓮を小突いた。何事かと思って藍を見ると、藍は王族が歩いて行った向こうを見ている。蓮もゆっくりと藍の視線の先を見ると、王族がそれぞれ輿に乗るのを待って見守っている景之亮の姿があ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章8

佐々良の宮は多くの人が出入りして、宴の準備が着々と進んでいた。 蓮と藍は宮の庭に作られた宴の舞台の周りに張られた幕を持ち上げて覗き見た。「まあ、立派な机!机の上の敷物もとても美しい模様!」 二人は感嘆の声を上げた。「お料理もきっと豪華でしょ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章7

「蓮!」 庭で呼ばれた蓮は首だけ庭に向けて返事をした。「待って!もう少し待って!」 やっと決めた帯を手早く結ぶ。同じ部屋にいた榧と珊は簀子縁まで出て、蓮の名を呼ぶ本家の娘、藍と付き添いの従者を迎えた。 都の西にある庭園での宴会の手伝いに行く...

【旅】太郎坊宮訪問記(滋賀・東近江)

今回は滋賀県東近江市にある「太郎坊宮」を訪れました。その訪問記をお届けします。1.太郎坊宮をなぜ目指したのか「太郎坊宮」阿賀神社初めて「太郎坊宮」の存在を知ったのは、陸上100mの選手である桐生祥秀選手が高校生か大学生の頃、お参りしたとテレ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章6

曲が終わると、女人は池のほとりに座り込んだ。実津瀬も、笛を胸に閉まって女人の左隣りに腰を下ろした。女人は実津瀬の行動に驚いたようで、その身を少し右に寄せた。 そんな動きが女人は姉妹だけで身近の男は父親だけのように感じさせた。 しかし、実津瀬...
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New Romantics 第一部あなた 第三章5

鷹野の後ろを実津瀬が歩いている。 前日、鷹野が邸に来て明日の踏集いに一緒に行ってくれと言われた。どうも、里に明日も会いたいというような内容の手紙を出して、里から行くと返事が来たらしい。「いいよ。私も行くよ。でも、わざわざここまで迎えに来なく...
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New Romantics 第一部あなた 第三章4

実津瀬は自分から広場に戻ると、皆は帰り支度を始めていた。 鷹野はあの意中の子、里の前に立って何やら話をしている。近寄って行っては邪魔になると、近くの木に背中を預けて周りの様子を見ていた。すると、林の中から広場に女人二人が並んで現れた。「姉さ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章3

実津瀬はいつも通りの毎日を送っていた。朝、起きて宮廷の見習いの仕事に行き、終わると塾の講義を聴いた。そして、気が向けば宮廷楽団の稽古場に行って、練習の様子を見ていた。 何も変わらない日々。ただ、雪だけがいない。 雪と出会う前の生活に戻っただ...
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New Romantics 第一部あなた 第三章2

「実津瀬!」 実津瀬は部屋から庇の間に出てきた。階の下には鷹野が立っていた。「わかっているよ、行くよ!」 実津瀬は階を下りて沓を置いた。 鷹野は早く早くと実津瀬をせかす。 今日は、都の東北にある山の山中で行われる踏集いに行くことになっていた...
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New Romantics 第一部あなた 第三章1

「蓮!」 呼ばれて蓮は声の方へ顔を向けた。 父が庇の間に入って来たところだが、その後ろには隠れようもないほど体の大きな男の姿が見えた。 その男は律儀なもので、蓮に会うのが目的なのに必ず主人にまず会いに行く。主人の実言が不在であれば妻の礼に会...
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