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小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章9

翌日から、蓮は母と一緒に日の出と共に去の薬草園で薬草を摘み、昼間は妹弟たちの世話をし、夕暮れまでの一時、薬草について書かれた書物を写した。 蓮の書く字は美しく読みやすい。それは、去もたいそう褒めてくれるので、束蕗原では蓮は去のためにも本を写...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章8

束蕗原に向かうため、夜明けとともに皆が邸の主人の部屋に集まった。実言がみんなの顔を見て寂しそうな顔をしていた。実津瀬も宮廷に出仕する前に、顔を出した。弟妹たちには昨夜たくさん話をしたので、顔を見たかったのは母だった。「お母さま、お体に気を付...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章7

実津瀬の生活は朝早くに宮廷に出仕して、見習いとしての雑事をこなし、そこから宮廷近くに開かれた私塾で講義を受ける。異国から来た最新の書物についての知識を得られると人気である。その講義が終わると、実津瀬は再び宮廷に帰って、もし見習いの仕事が残っ...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章6

新しい年を迎えるに当たって、岩城実言の邸では邸に仕える者は従者侍女、その子供に至るまで皆の衣装を新調した。皆、箱を開ける前から新しい衣装に心を躍らせた。元旦の朝には真新しい衣装に袖を通し、邸の主人の部屋へ挨拶に行った。 実言は妻の礼を隣に座...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章5

新しい年を迎えるにあたって、実津瀬は宮廷に片隅にある稽古場で一人汗を流していた。それは、新年の行事で舞を舞うのに、恥ずかしいものを見せられないという使命感からだった。 日も暮れて、松明が必要になるというところに我に返ったように練習をやめて、...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章4

長く続く簀子縁を歩いてその角を曲がると、伊緒理の部屋の入り口につく。蓮はその入り口に近づくと、胸が痛くなる。これは嫌な痛みではない、嬉しさの伴う痛み。 蓮は角を曲がって、顔を上げた。「ああ、蓮」 庇の間から簀子縁に出てきた伊緒理が蓮を見て近...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章3

実津瀬は部屋の真ん中に寝転んで、ぼんやりと天井を見ていた。ともすれば、焦点はぼやけて、自分の意識の中に入り込んでゆく。 そんな自分を叩き起こすように、簀子縁をバタバタと走ってくる者がいる。「実津瀬!」「兄様!」 自分を呼ぶ声に意識は引き戻さ...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章2

「え、実津瀬、一緒に来ないの?」 岩城本家の末っ子である、鷹野が訊き返した。「私はこれから、笛と踊りの稽古があるから、鷹野はお帰り」「残念だな、今日はうちに面白い書物が届くから見ようと言っていたのに」「そうなの?」「今、異国の使節団が来てい...
小説 あなた

New Romantics 第一部あなた 第一章1

季節は秋。 その日はお天気も良く、文句のない野掛け日和だった。 伊緒理は、都から馬を駆けらせて去様の領地である束蕗原に到着すると、あの家族が待っているからと、お付きの侍女一人に案内してもらってそのなだらかな坂を上って行った。 坂の中腹まで来...
物語あれこれ

来週から新しい物語が始まります!

こんにちはご無沙汰をしております。1月に新しい話を書きますよ、と言ってから2か月ほど音沙汰無しでした。新シリーズのお知らせです。前作「Infinity」は3年くらいをかけて全部を書き終えて、このページに掲載してきました。そして、これから始ま...
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