小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night124 翌日も礼は体が求めるままに寝た。目が覚めた時には、陽はとっくに高くまで上がっており、外では実津瀬と蓮が邸の子供達と遊んでいる声が聞こえた。礼は起き上がると、縫がやってきた。昨日と同じように、薬湯を飲み、粥を食べると、促されるまま横になってま... 2020.11.08 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night123 翌日、礼は天高く陽が登った頃に、目を覚ました。礼は何刻だろうと、身を起こすと、庇の間の衝立から縫がひょっこりと顔を出した。澪も縫も、礼が自然に目を覚ますの待っていた。「お目覚めですか?」 そう言って、礼に近づいてきた。「ご気分は?」「悪くな... 2020.11.07 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night122 両手を赤く染めて戻ってきた礼に、付き添いの者が待機する部屋から出て来た澪は血相を変えて駆け寄ってきた。「礼様!どうなさったのです!どこを怪我されたの?手の平?それとも、腹ですか?どうしてこんなことに!」 礼の顔は真っ青だが、飛んだ血が頬につ... 2020.11.05 小説 Waiting All Night
物語あれこれ 【小話】朔と実言 朔は落ち着かない心で、部屋の真ん中に座っている。いつもはそんなことをしないのに、じっと自分の指を見ている。 落ち着かないのは……だって、今から実言がここに来るんだもの。 先ほどまで朔の住まう邸で婚約の儀を執り行っていた。そして、今から朔の部... 2020.11.04 物語あれこれ
物語あれこれ ゴールはもうすぐ こんにちはここまで「Infinity」という物語を読んでくださった皆さま、ありがとうございます。もうお気づきの通り、この物語は最終盤です。言ってしまえば、あと6話で終わります。書いた自分が一番寂しい気持ちになっています。書き終わったら、何を... 2020.11.04 物語あれこれ
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night121 「耳丸……もっときつく縛ってくれないか」 実言は耳丸の肩につかまって、近道である後宮側から宮廷に行く途中に言った。周りは慌ただしく、先に王宮への取次に走る者、弾正台への取次に走る者と、指示とそれに対応する役人が右往左往している中である。 妻... 2020.11.03 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night120 詠妃は自分の身ばかりを案じていたが、そこで初めて自分の行動が最愛の息子である葛城のその身を危険にさらしたのだとわかった。 ここに来て岩城一族の最大の狙いは次の次の大王を誰にするかに移ったのだ。春日王子が亡き後、大王の位は、文句なく大王の息子... 2020.11.01 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night119 礼は少ないが花をつけた薔薇の庭の中に一人立っていた。 どんよりとした重苦しい雲が立ち込めて今にも雨が降ってきそうなこの日は、誰も庭には出てこない。 この庭は宮廷の端にあるため、周りを高い築地塀に囲まれている。築地塀には屋根を設えていて、回廊... 2020.10.31 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night118 実津瀬と蓮は体から力一杯声を出して泣いた後は、落ち着きを取り戻して母に甘え始めた。礼は二人を膝の前に座らせると水を飲ませた。泣き過ぎで目尻が赤くなった二人は、小さな手を椀に添えてごくごくと勢いよく飲んでいる。 それから三人で手を繋ぎ合って歌... 2020.10.29 小説 Waiting All Night
小説 Waiting All Night Infinity 第三部 Waiting All Night117 謀反人春日王子の一味と思われたらどうしようか、と戦々恐々としている人物は少なくない。 それは、後宮も例外ではなかった。 大王の第三妃である詠は、与えられた館の外国風に設えた陶器を敷き詰めた庭先で椅子に座って庭の花や緑を眺めているが、心は落ち... 2020.10.26 小説 Waiting All Night