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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night114

この大きな湖のほとりの土地で礼のするべきことは全て終わった。心はまだ朔の傍にいたいとも思うが、ここまで自分の我儘を通してきただけに後は夫と我が子のたち、そして、お腹の子のために都に戻る。そうと決めたら、間々代に帰ると告げた。 伊緒理はどうす...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night113

礼は目を覚ました。 夜明け前かと思ったが、それにしてはまだ闇が深い気がした。何かを感じて、起き上がり隣に寝ている伊緒理を見ると、衾がめくれ上がって、そこに伊緒理はいない。礼は驚いて、衾から抜け出して立ち上がった。 衝立の向こうに目をやると、...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night112

礼は邸に入ってすぐの部屋で横になった。礼の傍に座る伊緒理に、礼はその頬を撫でながら言った。「あなたはお母様のところへ行きなさい。私は横になっていれば直に治るわ」 伊緒理は後ろの部屋を振り返った。「お母様は眠っています……」「私も少し寝るわ。...
物語あれこれ

第三部をここまで読んでいただきありがとうございます

みなさま、私の小説を読んでくださりありがとうございます!第3部。長い話になりましたが、礼・実言対春日王子の因縁も何とか終わりを迎え、この物語の山を越えた感じです。しかしながら、物語はまだ続きますので、もうしばらくおつきあいください。最初に考...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night111

目が覚めた。 とてもすっきりとした気分だと、伊緒理は思った。そして、自分の手の先を見たら、しっかりと握っていた。 母の手。 握りなおして、その手の感触をもう一度強く感じた。目を上げると母の横顔が見えた。白い顔。お母様はこんな顔だっただろうか...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night110

礼は朔の手を握ってじっとその顔を見ている。 朔は息苦しそうにしていて、予断を許さない状況だ。 その日の陽が沈んだころ、礼と朔がいる邸に実言の使いで高瀬が、山での出来事を伝えに来た。礼はその時ばかりは朔の手を放し、邸の外で春日王子の最期を聞い...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night109

「そうだ、買いかぶりも見くびりもしない。騙し合いや仲間の手を借りることもしない。今、ここに出せるものを出し合うしかあるまい。私も、そしてお前もな」 春日王子はにやりと笑って、構えている実言に向かって先手の攻撃を与えた。実言はそれを受けて、鍔...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night108

春日王子は階を上がってきた岩城実言と対峙し、睨み合っている。「春日王子、大王はあなた様から直接に話を聞きたいとおっしゃっておいでです。どうか私たちと共に都に戻って、大王とお話しください」 実言が言うと、春日王子はすぐさま言い返した。「私が戻...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night107

その時階の下に立つ実言に駆け寄ってきたのは荒益だった。大王軍が山頂の守りを突破したのに乗じて、荒益は礼を部屋に残して大王軍に合流したのだった。その荒益が、実言に言った。「実言、私に朔を受け取りに行かせてくれ」「……荒益……しかし……」 実言...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night106

朝日は完全に山の上に上がった。 実言率いる大王軍は焦ることなく血気盛んに声を上げて進む。 山頂での決戦。春日王子は物分かりよく降伏するだろうか。 実言は周りの兵士と共に歩いて、山頂へと上がる途中にその思いが頭の中を巡った。どうか、穏やかな話...
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