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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night58

朔は後宮から部屋に帰ってくると、庭に面した階の一番上に腰を下ろして庭を眺めた。夏の暑さが緑を鮮やかに燃え立てさせていて、その間に色とりどりの花が咲いている。いつまで見ていても飽きない景色である。 実家の常盤家の庭も広くていろんな趣向を凝らし...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night57

荒益は母と息子の伊緒理が住んでいる椎葉家の別宅に着くと、侍女が飛んできた。その顔を見て、伊緒理だな、と思った。「どうした?そんなに悪いの?」 荒益は、答えによっては飛び出していくつもりだ。「いいえ。今は、落ち着かれています。熱も下がりました...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night56

宮廷内に与えられている自身の館の簀子縁に出て、高欄に体を預けて外を眺めていた春日王子は、朔が向こうから歩いてくる音にすぐには気づかなかった。「王子?」 何度かの呼びかけで、やっと春日王子は朔の方を振り向いた。「ああ、すまない。考え事をしてい...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night55

五日はすぐに経った。 大田輪王は二人の舎人を連れて徒歩で哀羅王子の邸に来た。哀羅王子は供を付けずに大田輪王の案内で、六条の通りをずっと西に行った都の外れにある築地塀に囲まれた束佐という臣下の別宅へたどり着いた。 訪いを入れるまでもなく、門の...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night54

佐保藁の邸で、春日王子は部屋で酒を飲みながら物思いに耽った。 大王が息子の香奈益王子に朝議の場で頼る姿に心の中では苦々しく思っていた。春日王子よりもより近い場所に座らせて、いつでも声をかけて話をしている。春日王子が意見を言っても、香奈益王子...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night53

大王の体調は大きな不調をきたすことはないが、昔の快活で豪気な様子は見られない。いつ、胸の痛みが襲って来くるか、息ができないほどに咳き込みがはじまるのか、という恐怖がつきまとっているのだった。 昔のように妃たちを連れて、遊びを楽しまれることは...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night52

日良居は毎日夕餉の食材を買いに行くのに、隠している使命を意識して、曲がった背中も心なしかすっと立ってくる。 決してこちらが岩城実言に会いたがっていることを知られてはならない、と哀羅王子は言う。だから、毎日ふらふらと決まった道、時に気の向いた...
私の生活

新しい生活様式の必需品

新型コロナが落ち着いて、新しい生活様式が定着してきました非常事態宣言が解除され、日本の中での移動制限も自由になりましたが、まだまだ新型コロナの警戒は解いてはいけませんね。自分はいいけど、大切な人に移すのが一番いやです。そこで、だいぶコロナが...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night51

哀羅王子は、部屋の真ん中に寝転がっている。その体勢のまま高坏の上に盛られた果物に手を伸ばし、無造作に取ると口に運んだ。歯を立ててその果肉を口の中に入れると、甘い汁が広がった。子供の頃であれば、こんなものはいくらでも食べていたのに、今は貴重な...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night50

今年も月の宴は催される。 大王の健康への不安は完全に取り除かれたわけではないが、短い時間ではあるが大極殿にお出ましになって外国の使節にお会いになり、また朝議にも出席される。群臣一同はそのお姿に安堵した。そして、宮殿の奥で休まれることが多い大...
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