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小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night40

朝餉を摂った大王が急に気分がすぐれないと言われた後、倒れられた。表立って騒ぎはせず、ひそかに弟である春日王子に連絡が入った。ちょうど佐保藁の邸で朝餉を摂っていた春日王子は、それを中断してすぐさま王宮に向かった。急なことで馬に鞍を載せている時...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night39

春日王子の邸である佐保藁邸に集められた人々は、隣同士で声を潜めて言葉少なに話しながらその人が現れるのを待った。 その中には哀羅王子もいた。今日呼ばれた人々が上座の正面に向かって両脇を列になって座っているが、哀羅王子は左側の先頭に座って、一人...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night38

花の宴が終わって三日後、都を東西に渡る一条の通りに供の侍女を一人つけて、質素な身なりで歩く女人がいた。普段、その女人を見た者は振り返ってもう一度その顔を見てしまうほどの美貌の持ち主である。そのため女人は人目につかぬよう頭から織りの入った布を...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night37

礼は双子の昼寝する様子を見ていた。朝のうちは邸の侍女たちの子供と一緒に庭を走り回っていた双子は、昼を過ぎると力尽きて眠ってしまったのだ。寝始めは、母親の傍が安心するのか、蓮は礼の膝に乗ってその胸に顔を伏せ、背中をさすってもらううちに、目が瞑...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night36

季節は梅の頃。 昨年の秋ごろのご病気が嘘のように、大王は元の元気なお姿に戻られた。大王ご自身ももう健康の不安を感じることもなく、以前よりも精力的な気持ちに満ちている。そうなられた理由の一つに、新年が明けるとともにもたらされた姫君の誕生があっ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night35

一月も終わる頃、夜明け前に碧妃は産気づいた。準備は万端で、一日ほどかかったが碧妃は無事に出産した。 生まれてきた御子は女児であった。王女の誕生に岩城本家は歓喜した。岩城園栄はすぐさま王宮へと使者を走らせた。 産湯につかった後、真っ白な産着に...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night34

哀羅王子は足早に陽明門をくぐり、そのままの勢いで我が邸に帰った。三条の西にある父親から受け継いだ邸である。十五年前のあの日までここに住んでいた。 あの日、ここにいては命が危ないと言われて、半信半疑であったが、その男の言葉について都を出た。そ...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night33

新年の行事は快復された大王が取り仕切られた。大極殿の広間に元気な姿をお見せになって、広場に集まった臣下たちは歓び、安堵した。 しかし、都の中には、大王の病気は呪いだという疑惑が根強くあり、また、皆が後継者問題を意識し始めて、不穏な雰囲気に満...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night32

「家族団らんのところをお邪魔したかな?」「そんなことはないさ。子供達も疲れて寝てしまったし、礼も一日忙しかったから休みたいだろうよ」「……それならいいのですが」「それに、私が麻奈見と話したがっていることが分かったのだよ。少し話をしようじゃな...
小説 Waiting All Night

Infinity 第三部 Waiting All Night31

夜が深まると、音楽や舞の好きな者と宮廷楽団から招いた二人を交えて仕切り直しの管弦と舞の催しが始まった。皆、庇の間まで出てきて、庭に作られた舞台に注目した。 碧妃と有馬王子は正面の部屋に座り、後ろに岩城園栄と実父の河奈麿、園栄の長男の蔦高が控...
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