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小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower40

季節は春を過ぎて初夏へと移り変わっている。強い日差しに刺されながら、一言も文句言わず礼は馬を進めている。旅を始めてひと月が経った。男装束にも慣れて堂に入ったものだ。 予想通り、山犬を避けるために泊めてもらった集落を発って三日目の昼間に若田城...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower39

「……助かったな」 はあ、と大きなため息とともに耳丸が言って、やれやれと持っていた剣を置いた。礼は座り込んでいたが、立ち上がると耳丸のそばに来て座った。「怪我はない?噛み付かれたところはどうなっているの?」「あれは、持っていた袋に噛みつかれ...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower38

馬が逃げるという事件が起こったが、それも無事に戻ってきた。二人はその馬に乗って北へとひた走った。 礼は勝手に木を下りてしまい、実言を本当に怒らせてしまったと反省の気持ちを込めて礼は静かに耳丸の後ろをついて行った。口少なで、休憩や食事も無言が...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower37

遊佐国も半ばまで来た。国府が置かれている伊神は、拓けていて市も立ち賑わっている。海が近いため海産物のやりとりが目立つ。礼は見たこともない珍しい海のものに興味津々で辺りを見回しながら歩いている。旅に慣れてきたため、体調を崩すこともない。その道...
物語あれこれ

小説投稿サイトの体験談

私の小説を読んで読んでいただきたくてこのホームページを作りました。しかし、ホームページを知っていただかないといけないので、その手段として小説投稿サイトに載せています。そのサイトの大変個人的なお話をさせていただこうと思います。最初に「小説家に...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower36

佐田江の庄からの旅は天気にも恵まれて上々の滑り出しだ。旅慣れない礼も、佐田江の庄で体を休められたことで、今一度旅を始める鋭気を養えた。 礼は耳丸の決めた旅の行程に決して口を出さない。耳丸も口出ししない礼の気持ちを汲み取っている。一日でも、半...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower35

夜明け前。 耳丸は自分たちが与えられた部屋の手前まで廊下を歩いて来て、立ち止まった。 酒の匂いと女の匂い。礼は気付くだろうか。そう思うと、耳丸は部屋の中に入るのを躊躇した。しかし、明け方の廊下はひんやりと冷たく、部屋の中に入って横になりたか...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower34

礼と耳丸は馬に乗りひた走った。北へ北へと。そしてもう一晩の野宿をして、翌日の未刻(午後二時)頃、佐田江の庄の集落へと着いた。ここまで来るのに、できるだけ安全を考えて大きな道を通ってきて、大きな集落もあったが、近寄らないようにしてきたため、久...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower33

星夜の頼りない光の中、礼は耳丸の手を借りて馬に乗った。耳丸は礼から馬に乗れると聞いていたので、まずはお手並み拝見とその様子を見ていた。しかし、言うだけのことはあって、礼は難なく馬を操った。先を行く耳丸は、時々礼を振り返り見るが、礼は耳丸の後...
小説 wildflower

Infinity 第二部 wildflower32

それからの礼は、子供のそばに寄り添って静かに暮らした。ちょうど耳丸が都に行く機会と重なって岩城の家にいる忠道への遣いに出した。耳丸の姉家族のこととともに旅の準備を進めさせるためだった。 礼は一日でも早く北へと向かいたかった。そのために必要な...
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